2019年11月26日(火) 27日(水)、次期遊具支援先を決めるために、候補校の視察を実施しました 。候補校は、震災・豪雨被害が大きかった熊本県、佐賀県の教育委員会に電話をしインタ ビューした中で私たちの活動趣旨に合った5校を選ばせて頂きました。
【26日 熊本県】
先の熊本地震で震源地に一番近かった、熊本県上益城郡の中島小学校・益城中央小学校 ・乙女小学校を訪問しました。町の復興は進んでも「遊具」にまで予算を割けない現状で あることを事前にお聞きしていたので、各校ごとに現状・課題をお話しいただき、設置さ れている遊具の現状を確認しました。
■山都町立中島小学校
全校生徒37名の山間に立つ小学校で、統合され廃校となった中学校の校舎・校庭を使っています。教育要領に定められた鉄棒等はありますが、他は中学生用のもの。低学年用の遊具が無い状況です。学校予算も減る傾向で、敷地内の除草や剪定などは地域の方々の協力を仰いでいます。山間にある上に、遠方から通学する為スクールバスが運行されますが、運動不足による腕力と共に脚力強化が課題です。校長先生が「1年生の教科書『くじらぐも』を、ジャングルジムに登らせて体験させてあげたいのですが、そこまでの予算は 。」の言葉が印象的でした。
■益城町立益城中央小学校
熊本震災時、一番揺れが大きかった益城町の小学校で、オープンスペースで学べるモデルデザイン木造校舎に立て替えた直後に震災がありました。体育館が住民避難所となり、校舎が危険になった近隣中学校の授業もこの小学校で行いました。周辺の復興は進んでい ましたが、新たな遊具を設置する余裕は無いとのことでした。
■甲佐町立乙女小学校
益城郡にある小学校で、通学路の途中に大道が通っています。この大道の下を横断用生活道路が通っていますが、復興資材運搬の大型車両が通れるように整備された為、車両の通行量が増え、児童の安全確保の為スクールバスを運行するようになりました。歩いてすぐの学校にバスでいかなければいけない子ども達。地域の復興が進んでも、こんな所に影響やしわ寄せが来ている現実を目の当たりにしました。
【27日 佐賀県】
佐賀県佐賀市の金立特別支援学校、大和特別支援学校の2校を訪問しました。両校とも 特別支援学校としての歴史が長いのですが、事前調査では「特別支援学校は予算が後回し になってしまう。」とのことでした。予算が回ってこない一方で、老朽化した校舎の修繕費や、生徒数増大に関わる設備投資が優先され、ここでも遊具の設置や修繕は後回しになっています。
■佐賀県立金立特別支援学校
身体障がい児の特別支援学校で、小学生から18歳まで118名が通っています。ハンデキャップがある為、座位や臥位でなければ遊具に乗れず、特別遊具が必要です。現在、中庭にある滑り台は、ローラーが腐食し割れている為、使用できません。他のミニゴンドラやゆりかご式ブランコも老朽化が進んでいます。「ここの生徒にとって、自分の身体が滑ってゆく感覚を感じることが、すごく大切なのです。」と語る先生方によって、プレイルーム内に1ヶ月限定で手作り滑り台を設置し(プレイルームのほとんどを占めてしまうので常設不可)、体験機会を構築しています。必要とされている遊具は通常より低いもので 、座位や臥位騎乗ができ、介助者が横に付くことが出来るものです。高額の遊具になり子ども達の為に、という先生方の想いが痛いほど伝わりました。
■佐賀県立大和特別支援学校
知的障がい児の特別支援学校で、小学生から18歳まで290名が通っています。通学に 時間がかかる生徒の為に寄宿舎が併設され平日は中学・高校の生徒が3~4人1部屋で生 活しています。この数年、生徒数が激増し、新校舎を建てたばかりなのに、さらにもう一 棟増築するとのことです。その為、校庭に設置してある遊具は錆が浮いても修繕できず職 員がペンキ2度塗り等の対応を行っています。設置遊具以外にも、寄宿舎での余暇を楽し むDVD等がもっと必要という話をお聞きしました。
【最後に】
視察中、各校でお話しさせていただきましたが、当基金は子どもたちに必要な支援を確 実に遂行する為、場合によっては現在ある古い遊具の撤去などを行政に掛け合う活動も行 います。今後、実行委員会にて支援先を検討、審議します。
支援決定後、できるだけ早く子ども達が希望する遊具の設置を目指します。
最後になりましたが、視察チームの訪問時にお忙しい時間を割いてご対応下さった山都 町教育長、各校校長先生、教職員の皆様、そして我々を暖かく迎えてくれた生徒の皆様に お礼と感謝を申し上げます。また、突然お伺いしたのにかかわらず、とても歓迎していた だいた熊本市中島小学校校長先生・生徒さんにもお礼申し上げます。
(参加者:青柳・青山・若松)